レーザー核融合反応

これからの大注目産業といいえば、水素ステーションの実現とレーザー核融合分野だろう。
水素ステーションは実現すれば世の中の産業は大きく変わる事は間違いない。
どれはさておき、ここではレーザー核融合の可能性とビジネスモデルを紹介してみたいと思う。

核融合と聞いてもあまりピンとこないかもしれないが、一番わかりやすいのが太陽である。
太陽などの恒星は延々と燃え続けているが、エネルギー源は核融合反応によるものだ。
核融合反応とは、2つの原子核が接近すると、重力によって融合され、新しい原子核が誕生する。
核融合によって生み出されるエネルギーの寿命はほぼ永久なので、未来のエネルギーとして古くから研究されている分野だ。
核融合反応を起こすには、1億度以上の超高温状態を維持し続ける事が必要であり、エネルギーとして利用するには核融合燃料が燃焼しきる必要がある。
したがって、ある一定以上の閉じ込めと時間が必要となるのだ。
これらの技術が現在の科学では、効率面・安全面での確立が課題となっており、なかなか進捗しないのが現状となっている。

そこで新しい技術として注目を集めているのが、レーザー核融合である。
レーザー核融合は、超強力なレーザー光を特殊な装置に照射し、高圧プラズマを発生させる事によって核融合反応を導き出す技術だ。
これらの研究は、大阪大学レーザーエネルギー学研究センターをはじめ、各企業などでも盛んに行われているところだ。

現在我々の発電システムとして依存の高い原子力発電は、核分裂反応を利用したエネルギーの発生方法である。
核分裂は寿命が短く、核廃棄物処理の問題や、臨界などの原発事故が懸念されている。
しかし、核融合反応は核分裂反応を必要としないので、臨界事故などのリスクは極めて低いものとして期待されている。

●核融合の研究に取り組む企業
核融合の研究は、世界各国で盛んに行われているが、日本では浜松ホトニクスやトヨタ自動車、マイナーなところでは神島化学などが取り組んでいる。
浜松ホトニクスでは、浜松市西区呉松町において産業開発研究所を立ち上げ、大出力レーザー技術を応用した産業化への取り組みを実施している。
光産業創成大学院大学では、トヨタ自動車・浜松ホトニクスと共同で研究開発に取り組んでいる。
2012年4月4日付の同大学の発表によれば、テーブル型高出力・高繰り返しレーザーを用いて、爆縮高速点火による高繰り返し核融合反応に成功したというものだ。

この実験は世界各国で行われているが、最大の難問が核融合反応に必要な電気光変換効率であった。
これは、高出力レーザーの開発が進んでいない為、一日数回程度のショット回数しかできず、効率面で目標が達成されていないからだ。
同大学ではmこれらの課題を見事クリアしたものである。
発電の鍵となる高繰り返しレーザーの開発に成功した事によって、2010年2月、世界ではじめてレーザー核融合反応による中性子の繰り返し発生に成功したものだ。

神島化学(こうのしまかがく)では、2020年~2030年の実用化を目指し、慣性核融合発電の開発に取り組んでいる。
重水素でできた素材に高レーザーを照射し、発電させようというものだ。
神島化学の技術は、現在注目されている水素電池の開発にも応用されており、レーザー核融合技術と合わせて大いに注目されるところである。